#愛してるを使わずに愛を伝える
「どんな言葉も嘘偽りに聞こえるのなら、言葉にするのは止めようか」
公達は謎めく微笑を唇にたたえた。
「友雅殿の言葉には実がありませんもの」
稚い少女は切るより鋭く言った。
絵巻物や物語に夢中になる年頃だというのに、甘い夢すら見ない。
そんな少女が哀れでたまらない。
同時に、興味が惹かれた。
少女を蕩かすのは、どのような言葉だろうか。
友雅は紙扇をパタパタと開く。
焚き染められた秋風の香りが広がった。
「貴女といるのは飽きないね」
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