青衣塚 青き衣討伐

「もうわかった!」
 ベリルのようにキラキラと輝く瞳が印象的な少女が、怒ったように言う。
 目鼻立ちは硬質。釣り目気味なのもあいまって、可愛らしい少女というよりは、美人といったほうがしっくりくる。
 薄紫の影をまとう白い肌は、傷一つなくなめらかで、文句のつけようがない。
 春先に出でる香草と同じ色の髪は、この世界でも珍しい。
 染めたものではなく生まれつきの色だというのだから、稀有な存在だということがわかるだろう。
 柔らかい髪質の隙間から、人の持ち得ない大きな耳が二つが覗く。
 狐型の耳には、いくつもの耳飾がついていた。
 『妖族』それがこの少女の種族だった。
 怨霊に汚されていない眷属を使役し、木属性でありながら、人族と同じように、火属性、水属性の魔法を操る。
 英雄といつか言われるようになるほどの、才能豊かな『妖精』の一人だ。
「いいや、わかってないだろう」
 成長期の終盤にいる少年が言う。
 短く切りそろえられている栗色の髪からは、白い羽が生えていた。
 こちらも人族ではない。
 頭部の左右に三枚ずつ鳥の羽を持つのは、エルフ族の精霊師のみ。
「パーティが壊滅しかけるところだったんだぞ!」
 精霊師にとって、最大の不名誉は『パーティ全滅』。
 補助魔法と回復魔法を扱うゆえか、矜持は高い。
「反省しています〜」
 彩香は不満げに言う。
 彼女にしても、不本意な結果だったのだ。
 BOSSとの戦闘において、少女は攻撃役を任された。
 パーティのバランスを考えれば、当然の結果で、少女自身も納得していた。
 ただ少しばかり、張り切りすぎてしまったのだ。
「どうだか。
 狐の頭じゃ、一晩も持たないんじゃないかな」
 統風は、鼻で笑った。
 妖族とエルフ族の長きに渡る戦の弊害か、若い世代でもこういった蔑視はある。
「今度は大丈夫!!
 ちゃんと計算して、戦う」
 少女はギロリと、少年をにらみつけた。
「これっきりにしてくれよ」
 精霊師の少年は、大きくためいきをついた。
「頑張る」
 妖精の少女は言った。
「当たり前」
 少年は冷たく言った。

   ◇◆◇◆◇

 英雄の塔は、今まで見たダンジョンとは違った。
 ところどころ崩壊しているところがあるものの、まるで大きな寺院だった。
 整然と区画分けがなされ、一部屋一部屋ごとに趣が違う。
 高い天井まで埋め尽くすレリーフの数々。
 怨霊たちも手を出せなかったのか、破壊を免れた神像たちが並ぶ。
 ひんやりとした空気がゆるりと流れていく。
 魔法の光源があるのだろう。
 ダンジョン内は神秘的な光で、明るかった。
 怨霊がはびこっていなければ荘厳な寺院にしか見えなかっただろう。
 柱の影から躍り出る怨霊を的確に屠っていく。
 パーティの最前面で、メンバーを守りつつ、敵を切り裂いていくのは妙齢の美女。
 黄金に光る双剣を舞うように扱う。
 彼女のまとうドレスの裾がひるがえる頃には、敵は瀕死になっている。
 スピードと妙技で持って、怨霊を沈黙させるのだ。
「次」
 高くもなく、低くもない声が言う。
 答えを待つこともなく、凍夜は走り出す。
 双剣は、誰にも追いつけない速度で、次の怨霊の弱点を目指す。
 怨霊から一撃は、さらりとかわす。
 二撃目は、均整の取れた美しい肢体に直撃する。
 神の授けし鉄壁の壁が、ダメージを軽減する。
 痛みは痛みとしてあるものの。
 倒れるほどの痛みではなくなる。
 怯むことなく凍夜は双剣を振るう。
 肩にも届かない黒髪が揺れ、ダンジョンには不釣合いなドレスの裾が、不可思議な空間を彩る。
 それは舞い。
 戦士である凍夜は『剣』であり、このパーティの『盾』なのだ。
 そこへ、妖精の魔法が怨霊に着弾する。
 さまざまな色を内包したが故に無色になった毒液が放物線を描く。
 敵の装甲を破り、猛毒が注ぎこまれる。
 統風はもっとも発動の早い回復魔法を詠唱する。
 光の鎧になるように、凍夜の体の上から幾重にも重ねる。
 激戦と呼ぶには他愛もない怨霊の集団は、塵になって消えた。
 そう、魂を譲り渡してしまった者のは、元がどんな種族であれ、みな灰燼になるのだ。
 この中には、同胞もいただろう。
 悪に身をゆだねてしまった、かつての英雄たちが……。
「この先?」
 凍夜が尋ねた。
 透き通るように白い肌には、いくつかの擦り傷ができていた。
 神の恩寵のおかげで、この程度の怪我は、そのうち綺麗に治ってしまうということがわかっていたけれど、統風は回復魔法をかける。
「ありがとう」
 凍夜は冷淡にも聞こえる調子で、言う。
 言葉が少なく、抑揚のが少ない口調は独特で、他人を拒絶するような氷の壁のようだったが、統風は気にしていない。
 黒髪の美女は不器用なだけだ、と長い付き合いで知っているからだ。
 統風は「気にしないで」と微笑んだ。
 彩香が硬質な美少女なら、凍夜は鋭い容貌の美女だった。
 癖のない黒髪。切れ長な目には微かに青い瞳が収まっている。
 凍りつくような真夜中の冷たさを想起させる。
 大陸の南方で育った統風にとって遠い異国の象徴だった。
 怨霊の前に立ち、果敢に剣を振るう姿は、神に選ばれた気高い騎士のようにも見える。
 神と人の混血児をささやかれる、エルフ族は近接戦闘の能力を与えられていない。
 人族ほど強靭ではないし、妖族のような力強さもない。
 弓使いであれば素早い身のこなし。精霊師であれば強力な癒しの力。
 一人では闘えないほど、非力なのだ。
 だから、統風は凍夜に憧れを抱く。
 自分とはかけ離れたものだったから。
「あとは青き衣とその取り巻きだけだね。
 楽勝♪」
 楽しげに彩香は言う。
 妖族の少女にとって、これは心躍るゲームにしかすぎない。
 あるいは宝の山。
 かつて人族であり、優秀な軍人であったという青き衣。
 戦中に魅入られ、そのまま怨霊になってしまった生き物。
 三人は青き衣の待つ部屋へと向かう。
 重々しい扉は自然と開き、青き衣とその取り巻きの怨霊たちが待っていた。
「全部で8体」
 凍夜は双剣を構えなおす。
「混合で、水属性の魔法も撃ってくる。
 範囲物理もあったはず」
 統風は街で得た情報を口にした。
「任してよ。
 りーちゃんで1本釣りしてあげる」
 彩香は使役しているリアトロウルフに、楽しげに攻撃命令を下す。
 狼に似た眷属は、主人を一瞥すると走り出す。
 狩りをする肉食動物がそうであるように、全力で獲物を目指す。
 8体のジェネラルスケイルの攻撃をかいくぐり、お目当ての1体だけに噛みつく。
 可聴領域にはない音色で、彩香は眷属に命令を与える。
 瞬時に、リアトロウルフは存在を揺らがせる。
 そして1体だけジェネラルスケイルが三人の元へと走ってくる。
 リアトロウルフにかじられた場所から、ぽたりぽたりと血が流れている。
 1秒、2秒、3秒。
 彩香の足元には、リアトロウルフが再召喚され、眷属は走り出す。
 主の出す指示に従って、その身を壁とするために。
 それとほぼ同じタイミングで、凍夜が跳躍する。
 飛び交う魔法の輝き。
 氷の飛礫が彩香の体を叩きつける。
 優秀な『妖精』の少女は笑い、さらに眷属に命令を与える。
 流れる血もそのままに、五元の壁に守られているとはいえ、気にせずに状態変化を起こす魔法を詠唱しだす。
 統風も、攻撃魔法を詠唱する。
 ジェネラルスケイルの標的は、リアトロウルフに移っている。
 統風の呼んだ強風が竜巻となり、モンスターに襲い掛かる。
 大きな外見に比べて、脆い装甲の怨霊は凍夜の剣に簡単に切り裂かれた。
 軽症を負った彩香は続けて、眷属に命令を出す。
 密集した怨霊を群れから分散させ、1体ずつ招くのは妖精のダンジョン内の役割の一つだった。
 これは熟練した腕を持つ、妖精にしかできない。
 リアトロウルフが走っている間、統風は彩香を見ていた。
 釣りに集中している少女のほうは、少年のほうを見ないので、それが原因で口論になることはない。
 彩香の怪我は深くはないが、浅くもない。
 再度、怨霊から一撃をもらえば瀕死になることも考えられる。
 統風が彩香に回復魔法を唱えないのは、種族同士の因縁が原因ではない。
 敵が標的を選ぶ順は、一番初めに攻撃してきた人物、最大の攻撃力で攻撃してくる人物、そしてそれを回復させる人物、という順なのだ。
 不用意なタイミングで回復魔法を唱えれば、統風自身が敵の標的になる。
 精霊師はパーティの要。
 最後まで倒れてはいけない職業。
 不意の事故で、盾が崩壊しようとも、剣が破壊されようとも、精霊師さえ無事ならばパーティは立て直しが利くのだ。
 だから、一番冷静でいなければならない。
 統風は自分に言い聞かせる。

 冷静に。

 だから、それに最も早く気がついた。
 ジェネラルスケイルの範囲物理攻撃。
 死後の世界に誘うように、紫色の髑髏が視界を埋め尽くそうとする。
 統風は、走る。
 パーティの中で、もっとも足の遅い自分に苛立ちを感じながら。
 一番前で戦っている『盾』の数歩、後ろ。
 呪文を詠唱する。
 髑髏が体を中に入りこみ、急速に体力を奪っていく。
 『愚図』だ。
 体が重くなり、詠唱速度が落ちる。
 それは体感できるほど、明確な呪いの魔法だ。
 黄金の双剣が敵を切りつけているのが、目に入る。
 覚えたばかりの長い魔法は詠唱が終わり、虹色の光を撒き散らしながら効果を表す。
 全員の身に回復魔法が降り注ぐ。
 けれど、敵はまだ倒れていない。
 一度、範囲物理の射程に入ってしまったら、抜けることは難しい。
 敵は何度でも、詠唱をする。
 それは降り注ぐ絶望。
 統風は再度、範囲回復魔法を展開する。
 かなり広範囲に渡って、敵の目を引きつける魔法だということは知っていた。
 それに、回復量は多いが、詠唱が長すぎる魔法だった。
 が、手数が足りない。
 短く効果的な回復魔法は、単体なのだ。
 誰かを見捨てなければならない。
 この誰かは、間違いなく妖精の彩香だった。

 精霊は最後まで倒れてはいけないけれど。
 助けられる人が、そこに存在しているのなら。
 その方法があるのなら、最後まで諦めずに最大限の努力をしないと。
 パーティで守られているだけが、精霊の仕事じゃないわ。

 姉がかつて語った言葉だった。
 同じ精霊師として、いまだ怨霊と戦い続けているたった一人の姉が、言った言葉だった。
 統風は姉とは違う生き方を選んだが、精霊師であることは変わらない。
 “誰かを助けるために”存在しているのだ。
 乱舞する紫色の髑髏は唐突に止む。
 静かに虹色の光が三人の体に癒しを与える。
「釣り位置を考えろよな」
 統風は、ぼそっと言う。
「ちょっとぐらいのミスは誰にだってあるんだから。
 細かいことに気にしない、気にしない♪」
 帰ってきたリアトロウルフに回復魔法をかけながら、彩香はニコッと笑う。
 そして、すぐさま眷属を走らせる。
「……ミス」
 凍夜は彩香を一瞥した。
「ゴメン〜」
 彩香は謝る。
 先ほどと同じように、ジェネラルスケイルが1体だけやってくる。
 リアトロウルフが怨霊にかじりつき、凍夜の双剣が深々と敵を刺し貫く。
 脅威的なのは魔法攻撃だけだ。
 詠唱されなければ、簡単に倒せる怨霊だ。
 彩香は残りの5体も綺麗に釣り上げ、ジェネラルスケイルは灰燼と化した。
「あれが青き衣」
 凍夜は呟いた。
 人の形をしているものの、もう人間とは呼べない形をした生き物が祭壇の上を徘徊していた。
 青白い光を受け、浮かび上がるのは腐敗したような肌を持つ怨霊だった。
「魔法をかけなおすから」
 統風は言った。
 物理と五元の壁。神の恩寵と精神力増加。
 神の領域とされる補助魔法を扱えるのは、神と人との混血児である精霊師だけが持つ魔法だった。
「ん」
 凍夜は目を伏せ、短い魔法を詠唱する。
 人族が編み出した体を頑強にする魔法が三人の身を包む。
「はい、茨ね」
 敵の物理攻撃を一定値反射させる魔法を彩香は唱える。
 まるで茨のように、敵に攻撃する補助魔法だった。
 少年は、ためいき混じりに持続回復の魔法を少女にかける。
 妖族である少女は、体力が満ちたところで、精神力と入れ替える。
「えへへ♪
 助かっちゃう」
 嬉しそうに彩香は笑った。
「凍夜さん。
 減免札、使った?」
「うん」
「ヒーリングを三回、詠唱するから、効果が発動したら突っ込んで。
 15秒間は、それで持つから。
 それと仙丹と自己回復もお願い」
「了解」
 凍夜は小瓶に口をつける。
 10分間、体力の回復量を増加させる仙丹だ。
 統風も、また仙丹を口にする。
 真気の回復量を増加させるものだ。
 青い色をした液体は思ったよりも飲みやすい味がした。
「彩香は…………。
 しばらくは魔法攻撃は控えて、そうだなぁ。
 バーンアウトとアイシクルは平気だろうけど、ルーインは様子見で」
「ふーん、わかった。
 ペットはりーちゃんで良いのかな?」
「他のペットは、初期スキルなんだよな?
 それならリアトロウルフが一番、優秀だろうな」
 詠唱妨害とまでは言わないが、甲殻破りや遠吠えのあるペットがいれば、また違うのに。
 と統風は思った。
「行くよ」
 統風は凍夜にヒーリングを重ねがけする。
 15秒間、持続的に回復する魔法だ。
 つまり、15秒間の間に凍夜が敵の標的になり、その憎しみを一身に集めなければ、パーティは壊滅する。
 青き衣が凍夜に気がつき、攻撃を開始する。
 怨霊になった英雄には正気というものは、どこにもない。
 話し合うような余地はないのだ。
 凍夜の剣筋をよけて、青き衣は殴りつけてくる。
 一発や二発ではない。
 削られていく体力。
 回復量と受けるダメージ量が逆転したのだ。
 ボロボロになっていく凍夜を見守るしかない。
 信頼しているからこそ、彼女は『盾』として戦っているのだ。
 自分の生命を賭して。
 重い時間が流れていく。
 青き衣と凍夜が打ち合う音だけが響いている。
 15秒間が終わる前。
 ようやく、統風は魔法を詠唱する。
 ヒーリングを2つ重ねる。
 青き衣は、凍夜を殴り続ける。
 標的は揺らがなかった。
 それに安堵しながら、統風は持続回復魔法を唱え続ける。
 1秒で詠唱でき、その次の瞬間には効果が発動する回復魔法は、精霊師の最も頼りとする魔法だった。
 光の壁を築くように、何度も何度も、魔法を唱える。
「彩香。
 攻撃に参加しても平気だ」
「わーい」
 彩香は嬉しそうに、魔法を詠唱させる。
 それと同時に眷属へ攻撃命令を下す。

 それで、終わるはずだった。
 一身に憎しみを集め、最大の攻撃力で戦い続ける『盾』であり、『剣』である戦士。
 『盾』の崩壊を防ぐために、回復魔法を詠唱し続ける精霊師。
 ペットの攻撃と状態異常の魔法を操り、BOSSの体力を削る妖精。
 けれども、青き衣はふいに走り出した。
 祭壇を駆け降り、彩香に向かっていく。
 不意の事態だった。
 混乱した少女は部屋の出口に向かって走っていく。
 青き衣は魔法攻撃で、それを阻止する。
 半減する体力。
 凍夜は祭壇から飛び降り、青き衣の背を切りつけるが、怨霊はなおも妖精の少女を狙う。
「彩香!
 虚心薬を使え!!」
 統風は叫ぶ。
 回復魔法を彩香に向かって唱えることはできない。
 いや、誰にも魔法をかけることができないのだ。
 回復魔法を唱えた瞬間に青き衣は統風に向かってくるだろう。
 妖精である彩香よりも、精霊師の統風のほうが物理も五行も防御力がないのだ。
 攻撃に耐え切れない。
 その先に待つ未来はパーティの全滅だ。
 統風の動揺とは無関係だと言わんばかりに、黄金に輝く双剣は青き衣を斬り続ける。
 正確無比な剣が舞う。
 鋼と化した肌を削り取り、瘴気ごと切り捨てる。
 やがて、怨霊は己を傷つける存在に気がついた。
 ゆらりと青き衣は冬闇の美女に向かっていく。
 盾であり、剣である役目を果たすだけだと、凍夜は戦う。
 全身の気を集め、体力を回復しつつ、ただ一人で戦っていた。
 満身創痍。
 見ていて楽しいものではない戦いだ。
 ほんの数秒、回復が遅れれば生命を落とすような。
 ギリギリの。
 それでも、凍夜の剣は止まらない。
「彩香、自己回復!」
 統風は、凍夜に向かって詠唱を再開する。
 透明な白い肌から流れ出ていた血は止まる。
 抉られた肉が戻り、時間を先戻ししたかのように回復していく。
 怨霊の攻撃を受けても、傷は急速に治っていく。
 途切れそうになる集中力を無理やりつないで、統風は魔法を詠唱する。
 青き衣は追い掛け回していた妖精のことは、忘れたようだった。
 視界の端でリアトロウルフが走っていくのが見えた。
 何度目の攻撃だっただろうか。
 どれほどの時間だっただろうか。

 青き衣は倒れた。

 怨霊である彼の死体は残らなかった。
 隠し持っていたのだろうか、代わりに魔力を秘めた貴重な防具や装飾品が床に散らばっていた。
 青白い光が焚かれた部屋の中で、それらは妙に輝いていた。
 鈍く、ギラッと。
「疲れた」
 凍夜が呟いた。
 青い瞳は、握りこんでいた双剣の刃を見つめていた。
 手の込んだ装飾がされた刃には無数の傷ができていて、鍛冶屋に見てもらう必要がありそうだった。
「ホントに……」
 統風も、また呟く。
 仙丹を口にしていたせいか、魔法を唱える余力は充分にあったが……できることなら、しばらく魔法は唱えたくなかった。
「倒せたね!」
 彩香だけが楽しげに笑った。

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